2022年11月23日

同型エンジンなれど

 GRヤリスに乗っていると、見過ごせないクルマがある。同型エンジンとGR-FOUR 4WDシステムを搭載するGRカローラだ。
 GRカローラのエンジンはG16E-GTSと、型式はGRヤリスと同一だがスペックは向上している。それに伴いエンジン系を強化する変更がされている。

 まず特徴的な変更は3本出しマフラーだろう。中央の排気口にバルブを備えたデュアルステージエキゾーストとなっている。静粛性を確保しながら背圧低減を実現して、出力向上に貢献している。
 バルブの制御条件を見てみよう。IG-OFF・始動・アイドリング時は開。回転数による開閉条件は、4500rpm以上になると開、4300rpmを切ると閉。速度条件では、30km/h以上になると閉、27km/hを切ると開。
 高回転域でバルブを開くのは理解できるが、低速時にバルブを開く理由はよく分からない。

 次にエンジン内部の変更点を見てみる。

・ピストンの材質を高強度の新開発材料に変更
・エキゾーストカムシャフトの後端に軸受けを追加
・バルブスプリングを改良
・バルブラッシュアジャスタのオイルリーク量を従来より厳しく管理
・高圧フューエルポンプの最大吐出圧増強(22MPa→26MPa)
・EX側VVT-iギヤASSYにアシストスプリングを追加

 約1割の出力向上に対して、これほどの対策が必要になるとは。

 ちなみに、使用できるエンジンオイルについても変更されている。GRヤリスではLSPI対策の関係でSPまたはSN PLUS規格が指定されており、SN規格のオイルは使えなかった。それがGRカローラではSN規格のオイルが使用可能となっている。

 駆動系にも変更が加えられている。
 まず最終減速比がGRヤリスに比べて3.0%増で、車重増大に対応している。
 GRヤリスでは導電性ハブグリースを使用して足回りに発生する静電気を除電していたが、GRカローラでは通常のハブグリースになっているようだ。
 シフトポジションインジケータも追加されている。この仕組みがなかなか興味深い。シフトレバー部にセンサを備えてシフトポジションを検出しているのではない。このクルマは iMT(オートブリッピング機能)のためにミッションの入力側に回転数センサを備えている。またABSなどのために車輪速センサもある。これらセンサから得られる、ミッション入力側回転数と車輪速との比率からシフトポジションを算出しているのだ。既存の信号を利用してシフトポジションを判別するうまい仕組みだ。
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2022年11月11日

吼えないラリーカー

 今日はラリージャパンのリエゾン中のラリーカーを見るために、豊田市まで行ってきました。
 とりあえず、エリア付近のカントリーレストラン渓流荘で腹ごしらえの予定(要予約)。ナビに従って向かうと、なんとラリー関係の道路封鎖で進めません。迂回路を探すのに手間取って予約の時間に10分遅刻(何とか許容範囲か)。

03_ダムカレー@渓流荘.JPG
 名物のダムカレー。ネパール風のスパイシーなカレーです。以前のように「決壊!」とか言って遊ぶほど若くはなくなった……(参考:「黒部峡谷の深奥(後編)」)。

13_GRヤリス_ロバンペラ.JPG
 ロバンペラ選手のGR YARIS Rally1 HYBRIDです。スルスルと音もなく走ってきます。住宅地なので騒音に配慮してEVモードです。

14_HEV ZONE終了.JPG
 HEV ZONE終了のサインボード。ここ以降はエンジン始動が許されます。幹線道路への合流で派手なエンジン音を響かせて走り去っていきました。
posted by まいすた at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月17日

前輪のみ駆動せよ

 プロペラシャフトの電子制御カップリングで後輪へのトルク伝達を制御するオンデマンド4WDには、通常FFモードが存在する。当たり前だが、カップリングの継合をOFFにするだけなのだから簡単だ。
 実はGRヤリスにもFFモードがあることをご存じだろうか?通常の操作では無理だが、特別なコマンド入力でFFモードに入ることができる。そのコマンドは以下のようなものだ。

@サイドブレーキON
AIG-ON
BブレーキペダルON,OFF,ON
CサイドブレーキOFF,ON,OFF,ON
DブレーキペダルOFF,ON,OFF,ON


 TRC、VSC、プリクラッシュセーフティが全てOFFになれば成功だ(入力に30秒以上かかると失敗します)。
 解除方法は、FFモードで60秒以上経過後、IG-OFFして60秒以上待機する。

FFモード_AWDモニタ表示.JPG
 加速するとAWDモニタで前輪にだけ駆動力の表示が点灯し、FF状態になっていることが確認できる。1速全開加速をすると前輪が激しく空転する。
 そう、インパネの警告灯の表示通りトラクションコントロールは働かない。他の安全機能やヒルスタートアシストも働かないので、安全のため安易に公道走行しないように願います。

 しかし、このFFモード、何に使えるかなと考えたが、パワーチェックにかける時に2駆料金でやってもらうとか?
 もしくは、後輪にテンパータイヤを履かせた場合に、駆動系保護やVSCの誤作動防止のために使うといいかもしれない(参考:「テンパータイヤを手に入れろ」)。

 ちなみに、上記コマンドではBとDでブレーキペダルを2回ずつ踏んでいるが、これを3回ずつにすると、AWDテストモードに入れます。

AWDテストモード_インフォ表示.JPG
 マルチインフォメーションディスプレイに"AWD TEST MODE"と表示されたら成功だ。こちらはIG-OFFにするだけで解除されます。

AWDテストモード_AWDモニタ表示.JPG
 AWDモニタはなぜか駆動状態に関係無くフル点灯になる。

 このAWDテストモードは、EXPERTモードでも完全にOFFにできなかったVSC機能を完全にOFFにできる(ヒルスタートアシストもOFFになるので要注意)。サーキット走行で活用できるだろうか。
posted by まいすた at 15:42| Comment(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月05日

テンパータイヤを手に入れろ

 GRヤリスにはテンパータイヤのオプション設定が無く、パンク修理剤のみだ。
 しかし、過去にタイヤウォールを損傷した経験上、パンク修理剤で対応できない事態に備えたい。それに普通のパンクでも、パンク修理剤は問題が多い。修理剤を使ったタイヤは修理ができず買い替えになるし、空気圧センサも交換になる。数万円の出費だ。普通のパンク修理なら数千円で済む。
 ということで、他車種のテンパータイヤの流用を考えた。

 で、とりあえず試着してみないことには、始まらない。周囲にテンパータイヤを搭載しているクルマを持っている人間がいないか探すと、妹一家のトヨタ・ヴォクシー(ZWR80)が搭載していることが分かった。
 早速、テンパータイヤを借りてきた。ヴォクシーのテンパータイヤのサイズは、T135/80D16だ。偶然、GRヤリスの225/40R18と直径が近い。これを後輪に試着してみる。そう、GRヤリスはFFベース車なので、テンパータイヤは前輪に装着してはダメで、後輪に付きさえすればいい。前輪がパンクしたらどうすればいいかと疑問が湧くだろうが、その時は後輪をテンパータイヤと交換し、はずした後輪をパンクした前輪と交換すればいい(ヴォクシーのマニュアルにもそう記載されている)。

テンパータイヤ装着.JPG
 さて、いよいよ装着してみると、ぴたりとはまった。ナットを装着し、タイヤを手でくるくると回してみるも、キャリパとの干渉は無いようだ。
 その辺を8kmほど走ってみた。LSDとの干渉を心配したが、特にハンドルを取られることも無く、真っ直ぐ走る。直径がほぼ同じだからだろうか。
 はっきり言って、タウンスピードでは全く違和感が無い。テンパータイヤを履いてるいるとは思えない。VSC、AWDシステムも特にエラーを吐くことも無かった。
 走行後、すぐ車体下に潜って、リヤデフキャリアと電子制御カップリングを触ってみたが、異常過熱もしていない様子だ。

 早速、トヨタモビリティパーツまで行って、ホイールを発注してきた。品番は、42611-28691である。次に、タイヤ館でテンパータイヤも発注してきた。サイズはT135/80D16。後日ホイールをタイヤ館に持ち込み、タイヤを組んでもらって完成だ。
 さて、テンパータイヤをどこに積むかだが、ラゲッジルームには立てて入れれば入った。だが、これでは固定されていなので左右にゴロゴロ転がることになるし、荷物を積みたい時に邪魔だ。思案したあげく、3人以上乗ることがほぼ無いので、助手席の背後、後席の足元に立てて積むことにした。
搭載状態.JPG
 この位置だと車両の重心に近いので、ヨー慣性モーメントがあまり増加せず、ほとんど旋回性を悪化させない。運転席でなく助手席の後なのは、重量バランスを考えてのことだ。GRヤリスは右側の方が重い上に、運転手1人で乗ることが多いので。あと、臭いが気になるのでビニール袋に入れてある。
 これでパンクへの備えが万全となった。

 ちなみに、3人で乗る時に、3人目を運転席の後に乗せて、助手席の後のテンパータイヤをそのままにしておいてはいけない。側面衝突を受けた際にテンパータイヤが後席乗員を傷害する可能性があるからだ。必ずテンパータイヤはラゲッジスペースに移さなければならない。

※テンパータイヤの装着は、駆動系に深刻なダメージを与える可能性があるため、自己責任でお願いします。当方は一切の責任は取れません。
posted by まいすた at 22:42| Comment(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月03日

三角表示板も軽量化

 クルマにはいざという時に備えて、三角表示板を積んでいる。そして、GRヤリスには、ラゲッジスペース下に三角表示板の収納スペースらしきものがある。しかし、手持ちの三角表示板は大きすぎて、その収納スペースに入らない。それに結構重い。軽量化を尽くしているGRヤリスには相応しくないだろう。
 ということで、軽量・コンパクトな三角表示板に買い替えた。

 収納スペースの寸法を測り、入るものとして、「EM-352 エマーソン 三角停止表示板」を選択した。

 新旧で視認性を比較してみる。
新旧比較_2.JPG
 左が古くから使ってきたもの、右が新しく購入したものだ。新しい方がわずかに小さいが、視認性にはほとんど差が無いだろう。ただ、軽いため、耐風性に少し不安が残った。

 次に、収納状態を比較してみた。
新旧比較_1.JPG
 上が古くから使ってきたもの、下が新しく購入したものだ。かなりコンパクトになっていることが分かる。重量も約1kgの軽量化になる。

収納状態.JPG
 ラゲッジ下の収納スペースにもすっぽり収まった。これでラゲッジスペースも少しすっきりした。
posted by まいすた at 20:47| Comment(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月02日

ブースト圧を測れ

 GRヤリスにはインフォメーションディスプレイにブースト計を表示する機能が付いている。しかし、この純正のブースト計、目盛が-1,0,+1,+2の4目盛しかなく、ブースト圧を数値で読むのが非常に難しい。これでは、ブースト値を日常管理するのに都合が悪い。
 ということで、新たにブースト計を設置することにした。

 純正ブースト計が電子式のため、追加のブースト計には機械式が欲しかった。なので、HKSの「ダイレクトブライトメーター」を選択した。
ブースト計.JPG
 ダッシュボード上に本体を設置し、圧力配管と照明用電源線を接続する。

 圧力配管のインマニ側の取出しには苦労した。インマニ圧の取り出せるチューブを探したのだが、一切見当たらないのだ。唯一圧力を取れそうなのが、キャニスタパージ用ホースだった。
 そこで、このホースを真ん中で切断し、「大野ゴム/ホースジョイント DH-1170」を噛ませて圧力取出し用配管を接続した。配管の室内への引き込みは、暫定的にドアを経由させる形にしている。いずれはバルクヘッドの適当なグロメットから引き込む形にしたい。
ブースト圧取出し_3.JPG

 照明用電源の取出しには、グローブボックスをはずした右上側の奥にある電源取出し用のオプションコネクタを利用した。このコネクタ、なぜか黒いビニールテープでぐるぐる巻きに隠されている。テープを切開してコネクタを取出し、「電源取り出しオプションカプラー」を接続して、イルミ電源をブースト計につないだ。

 実際に走らせてみると、針のブレも無く、純正のブースト計と追加のブースト計で針の動きがシンクロしていて、問題無いようだ。
posted by まいすた at 22:09| Comment(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月31日

外部入力を実現

 GRヤリスのディスプレイオーディオには、一つ問題がある。外部入力が無いことだ。実験で観測用カメラを仕掛ける関係上、外部入力は必須である(参考:「デフレクタの効果」)。
 ということで、外部入力キットの装着を検討した。

 最初、データシステムのVIK-T73を考えた。うちのクルマにはTVが付いているので、どうせならTVキット機能も付けようと思って、このキットを検討した。しかし、このVIK-T73のTVキット機能はスイッチによる切り替え方式である。インパネ周りにスイッチを配置したくなかったので、TVキット機能無しのVIK-T72と、TVキット機能がオートになっているエンラージ商事のTV&ナビキャンセラーを併用することにした。
 このTV&ナビキャンセラーを選択したのは、VIK-T72はディスプレイオーディオの4つ並ぶコネクタの真ん中の2つに繋ぎ、TV&ナビキャンセラーの方は左端の1つに繋ぐからだ。使うコネクタに重複が無い。これが他社のキャンセラーでは、VIK-T72と同じコネクタも使う必要がある物があり、両キットの直列接続が必要で、不具合が出る心配があった。

 実際の装着には、丁寧な手順書が付いているので、全く問題無かった。両キットの直列接続が無いのは、配線がスッキリして良い(ディスプレイオーディオ裏のスペースが狭いのでこれは重要)。
 両キットの併用でも、今のところ不具合は見られず、外部入力もTVキットも正常に動作している。
posted by まいすた at 00:27| Comment(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月29日

新たな相棒

 クルマを買い換えました。前のクルマは、20年20万kmほど乗って、もう限界でした。エキマニに亀裂。マフラーは腐食で穴だらけなのを耐熱アルミテープでぐるぐる巻き。リヤサスのアッパーサポート付近をはじめボディ各所に腐食で大穴。フロントサスペンションのピロボールはガタガタ。ミッションのオイルシールからはオイル漏れ。ミッションのシンクロがダメになっていてガリガリ鳴る。フルパワーでクラッチが滑る。と、まさに満身創痍。
 新車に求める条件は、コンパクト、MT、4駆、LSD、車重1t当たりエンジン出力100kW以上。そう、ちょうどおあつらえ向きのクルマが出ています。

 ということで、新しい愛車はトヨタの「GRヤリス・RZ"High performance"」になりました。
210504_全体像.JPG
 純白がまぶしいです。フェンダの迫力が凄い。発注から納車まで4ヶ月待たされました。長かった。

 乗ってみると、圧倒的な剛性感、滑らかな乗り味に感心します。前に乗ってた車が、坂道発進時に6000回転でクラッチミートしなきゃならない低域トルク皆無のエンジンだったこともあり、低域トルクも十分に感じます。
 しかし、ブリッピング時のスロットルレスポンスの悪さはどうにかならないでしょうか。回転上昇にラグがあるので、どうにもギクシャクしてしまいます。慣れれば改善するでしょうか。
 あと、試乗の時から問題視していたシート。シートリフタを一番下まで下げても高過ぎる座面、不足しているホールド性。なので早速、交換しました。
レカロSR-7.JPG
 レカロSR-7を導入しました。シートレールもレカロ純正のワンポジションタイプを選択。

 このシートレールは、別にローポジションレールとは謳っていないのですが、アダプターフレーム無しで装着すると、純正シートより座面が低くなります。どのくらい低くなったか、レーザーで計測しました。
座面高さ測定@レカロ.JPG
 純正シート最下段でのヒップポイントとルーフとの間隔は944mmでした。レカロに交換後は974mmになりました。30mm低くなっています。しかし、このレーザー距離計は便利すぎます。継ぎ足し計測になりますが、ペットボトルロケットの飛距離計測にも使えます(最近飛ばしてませんが)。

 純正シートではヘルメットをかぶるとつっかえそうなヘッドクリアランスでしたが、それが改善しました。狭っ苦しいルームミラーとディスプレイオーディオの間からの視界も、ほんのわずかに見通しが良くなりました。
 そして、何よりもホールド性の改善が著しいです。クルマの運動性に見合ったホールド性になりました。
posted by まいすた at 01:27| Comment(2) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月07日

バランスをとれ

 前回、ホイールナットを買い替えたことを書いた(参考:「チタンの輝きは素晴らしい」)。ここで、一つ問題が発生した。購入したナットセットにはロックナットが付いていないことだ。そこで、ロックナットを導入することにした。
 導入するロックナットは、最大限のセキュリティを考慮して、ナット周囲に空回りするリングのついたタイプの中から選ぶこととした。

 いろいろと調べると3種類見つかった。
 まずは定番の「マックガード」で、その中でも最高のセキュリティを誇る「ウルトラハイセキュリティロックナット」だ。
 2つ目は、「スターロック」だ。空転するカラーと、花柄の内溝はマックガードそっくり。
 3つ目は、「Sporacingrts ホイールロックナット」だ。これはよくある外溝タイプに、カラーを追加した形状である。ただこれには問題があって、キーソケットが1種類しかないため、泥棒がこの製品を買っていたら簡単に無効化される。
 キーソケットが1種類のSporacingrtsは論外として、マックガードとスターロックのどちらにするかで迷った。どちらも自動車メーカーに純正採用されている。まあ定評のあるマックガードとした。

 そして、装着するにあたり、重大な問題が発覚した。それは、ロックナットと他のナットの重量差だ。マックガードの重量は、約71gもある。対して、チタンナットは約26gだ。ハブボルトの1か所だけ45g重くなることになる。回転バランスが崩れてしまい、振動が出るかもしれない。
 さて、このハブボルトの位置で45g重くなるというのは、問題になるのだろうか?どの程度の影響になるか検討してみた。

 車輪の回転アンバランスは、余計な重量が回転中心から遠い位置についているほど影響が大きくなる。その影響度合いは、重量・中心からの距離 に比例する(てこの原理)。
 ここで、例えばP.C.D.100で、ハブナットの1つが45gだけ重いとする。対して、ホイールのアウト側のバランスウェイトが貼り付けられている位置の直径が、例えば300mmだったとする。
この時、ハブナットの45gは、ホイールのバランスウェイトの位置で15gのアンバランスに相当する(45g×100mm/300mm=15g)。ホイールのウェイトが5g刻みで貼られていることを考えると、これは無視できない影響だ。
 対策としては、ロックナットの位置の反対側に15gのバランスウェイトを貼り付ければいい。ただ、タイヤ交換の際には、ロックナットの位置が常に同じになるように注意が必要だ。

posted by まいすた at 21:03| Comment(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月03日

チタンの輝きは素晴らしい

 超々ジュラルミンのホイールナットを使っていたのだが、そろそろ耐久性が不安になってきたので買い替えることにした。今度は、64チタン合金製のものにしてみた。

 購入したのはDIGICAMの袋タイプ
 面白いのは、世の中には64チタンを謳いながら粗悪な素材を使っているものもあるので、ここは蛍光X線分析の成分分析書を付けて、正真正銘の64チタンであることをアピールしている。アピールしているのだが……後述。

 ただ、購入するにあたりいろいろ調べていたら、興味深いことに気づいた。ネット上に、全く同じ形状のチタンナットが、多くのブランドからリリースされているのだ。

 まずはここ、Spiegelだ。ナットの長さは違うものの、HEXサイズ、ローレット加工の密度・クロスハッチ角度、各部面取り、ネジサイズ表記の位置・フォントが同じだ。だが、何よりも決定的なのは、ここも蛍光X線分析の成分成績書をつけているのだが、公式HPに載せている成績書の波形・成績書番号がDIGICAMのものと同一なのだ(笑)。ちなみに、私のもとに届いた製品に添付されていた成績書も、これらと同一であった。製品ごとに成分をチェックしているわけではないようだ。DIGICAMとSpiegelのチタンナットは製造元が同じODMなのだろう。

 ほかには、IMPULROWENwangan(現在取り扱い無し)、CPR RACING STOREのものが同じ形状に見えるが、Spiegelのような決定的な証拠は無い。
 ちなみに、このCPR RACING STOREはAmazon上にしかなかった。ブランドロゴなどは何も無く価格が最も安いので、ここが製造元なのではないかと思われるが、違うかもしれない。調べると、中国の業者の通販用ブランドのようだ(特定商取引法に基づく表記)。Ningbo Zhanrui Auto Parts Co., Ltd.という会社だ。

 価格では、CPR RACING STOREのものが圧倒的に安いのだが、このストアはAmazon上での評価が微妙なのと、どうしても袋ナットが欲しかったのに貫通ナットしか扱いが無かったので、検品の確かさも期待してDIGICAMのものにした。

軽量ホイールナット.JPG
 重量を量ってみた。チタンナット(左)は、1個当たり26gだった。ちなみに、RAYSの超々ジュラルミンナット(右)は、1個当たり23.5g。ほとんど無視できる差だ。

物性値表.jpg
 材質の強さについては、物性値を見ると、64チタンはクロモリ鋼並みの強度・硬度を誇ることが分かる(ヤング率=剛性だけは劣るが)。

 チタンナットは、超々ジュラルミン並みの軽さとクロモリ鋼並みの強さを兼ね備えたホイールナットといえる。まあ、性能を置いておいても、チタンというだけでロマンがあるのだ(女性がジュエリーを求めるのと同じ心情か?)。
 装着したところ、ネジ山の精度も座面の当たりも問題無いようだった。あとは、ゆるみとか、かじりが無ければ良いのだが。

posted by まいすた at 19:22| Comment(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月11日

狭角V6の慣性振動

 リクエストがあったので、狭角V6の慣性振動について計算してみた。

 狭角V型エンジンとは、V型と言いつつ左右バンクが一体となってシリンダヘッドが1つしかない特殊なエンジンだ。クランクシャフトも通常のV型のような隣り合う気筒でクランクピンを共有する形ではなく、各気筒独立となっている。

 バンク角15°の狭角V6エンジン、6000rpm時の慣性振動は以下のようになった。

並進振動加速度.png偶力振動加速度.png
 並進振動と偶力振動の起振加速度のグラフ。

並進振動スペクトル.png
 並進振動の起振加速度のフーリエ解析。
 鉛直軸(x軸)方向の6次の縦揺れが出ているが、その大きさはぼぼ0といっていい弱さだ。

偶力振動スペクトル.png
 偶力振動の起振加速度のフーリエ解析。
 kw'xとkw'yの1次の振動は位相が90°ずれているので、クランク軸(z軸)周りの1次のみそすり運動となっている。鉛直軸(x軸)周りの2次の偶力振動も出ている。よって、直6と違い完全バランスとはならないが、その起振加速度の大きさは、ポピュラーな等爆60°V6と比べて約2/3、同一排気量の直4と比べて約1/8となり、振動は比較的弱い。
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2020年06月07日

セキュリティワイヤが入らない

 ノートPCを新調することにした。要求スペックは以下のようになる。

・ディスプレイ:FullHD 15インチ
・メモリ:8GB以上
・光学ドライブ(DVD)
・SDカードスロット
・Microsoft Office

 検討した結果、HP Pavilion 15-cu1000にした。
 新型コロナのせいか品薄で納期が1ヶ月以上かかったが、やっと届いた。余計なバンドルソフトがほとんどなくてシンプルな構成で良い。

 ただ、一つ困ったことがあった。手持ちのセキュリティワイヤが装着できないのだ。
 セキュリティスロットはあるのだが、サイズが小さくて入らない。まさか、セキュリティスロットに複数の規格があるとは思わなかった。調べてみると、標準サイズ(7×3mm)、Mini Saver(3×7mm)、Noble Wedge・幅小(4.5×3.2mm)、Noble Wedge・幅大(5.4×3.2mm)、Nano Saver(6×2.5mm)の5種類もあることが分かった(なんて迷惑な!)。手持ちのワイヤは標準サイズ、購入したPCはNano Saverだった。
 セキュリティワイヤを買い直そうかと思ったが、それももったいない。ということで、スロットに入れる部分の幅と厚さをリュータで削ってやって小さくし、装着できた。工作は楽しい。
posted by まいすた at 01:00| Comment(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月31日

速度維持のしやすさ

 ふと思ったが、自動車で一定速度で走る場合、低速と高速では「速度の維持しやすさ」はどう変わるだろうか?考えてみた。

 まず、「一定速度の維持」というのを定義しよう。「デジタル速度計で表示値が変化しないこと」を一定速度の維持とする。つまり、時速100kmで走行している時、速度計が"100km/h"を表示し続けていることを表す。この時、速度計が小数点以下切り捨てと仮定すると、100km/h≦実速度<101km/hという関係になる(現実の速度計は実速度より大きめに表示するが、本質的な問題ではないため誤差は無視する)。
 実速度を1km/hの幅に入れるということで、50km/hでは2%の範囲、100km/hでは1%の範囲と、低速の方が割合で見た範囲が広く、速度維持しやすそうだがどうだろうか?

 次にアクセルの踏込量と走行速度の関係について考える。アクセルの踏込量を大きくするとエンジントルクが大きくなって駆動力が増える。すると自動車は加速するが、速度が増大すると走行抵抗が増える。やがて、駆動力と走行抵抗が釣り合ったところで速度は一定になる。なので、アクセルの踏込量と走行速度は単純な相関関係になる。
 ある速度を狙って踏込量を調整する時、狙うべき踏込量の幅に余裕が多いほど一定速度を維持するのが容易になるので、その余裕の幅を算出すれば速度の維持しやすさが評価できるだろう。例えば、表示値"100km/h"を狙う場合、実速度が100km/hとなるアクセル踏込量と、101km/hとなるアクセル踏込量の間がどの程度の幅を持つかを見ればよい。

 そこで、50km/h時と100km/h時での速度の維持しやすさを計算する。
 手順としては、実速度50km/hと51km/h時、100km/hと101km/h時のそれぞれの必要駆動力を算出し、その駆動力を出力するのに必要なアクセル踏込量を算出する。

 自動車は一般的なコンパクトカーを想定する。
 排気量は1L程度とし、性能はフラットトルクで最大100Nmとする。
 50km/hと100km/h走行時の回転数は同一の2500rpmとなる変速比とする(50km/h時の総変速比は100km/h時の2倍)。
 この回転数で最大トルク100Nmが出る(マニフォルド負圧が0になる)までのアクセル踏込量は50mmとし、この範囲でのアクセル踏込量とエンジントルクは正比例とする。例えば、踏込量20mmではトルクは40Nmとなり、50mmで100Nmとなる(50mm以上踏み込んでも100Nmのまま)。
 駆動輪の動荷重半径は、0.28mとする。
 走行抵抗と速度の関係は、以下の近似式による。

R = 0.54v^2 + 0.39v + 120
R:走行抵抗[N],v:速度[m/s]

 この条件で、各速度、必要駆動力(=走行抵抗)、必要アクセル踏込量を算出すると、
・50km/h時、駆動力230N、踏込量6.09mm
・51km/h時、駆動力234N、踏込量6.20mm
・100km/h時、駆動力548N、踏込量29.05mm
・101km/h時、駆動力556N、踏込量29.50mm

 50km/hでは、踏込量の狙い値に0.11mmの幅が許され、100km/hでは0.45mmの幅が許される。この試算により、100km/hの方が50km/hに比べて踏込量の狙い値に約4倍の余裕があり、低速の方が一定速度を維持しにくいことが分かった。

 ただ、この試算は理想的に平坦な道路を前提としている。実際には、道路勾配や舗装状態、風向風速や前走車の後流、旋回抵抗など、環境要因によって走行抵抗が変動するので、その都度アクセル踏込量を調整してやらなければならない。
 つまり、制御性も速度維持のしやすさに重要なのだ。

 制御性として、まずエンジンのレスポンスを考えてみると、速度の制御周期が数秒程度であるのに対し、時定数(応答遅れ)は無視できるほど小さいのでレスポンスは問題にならないと考えられる。
 ゲイン(アクセル踏込量と出力駆動力の比)は、50km/h時は100km/h時の2倍の変速比なので、ゲインは2倍となり、50km/hの方が過敏な反応を示すので、制御に気を使うことになる。※実際の加減速は、フライホイールなどのエンジンの回転部分の等価慣性質量が減速比により変わる(4倍になる)ので、ゲイン2倍と言っても加減速度が2倍になるわけではない。概算で約1.6倍程度。
 リニアリティは、比例を仮定しているが、上記の微小踏込量の範囲では問題無いと考える。
 制御性の面から見ても低速の方が一定速度を維持しにくいと言える。

 実走行で試したところ、確かに50km/hの方がオーバーシュート/アンダーシュートが大きくなり速度維持がしにくいことが確認できた。

詳細な計算は以下
posted by まいすた at 18:47| Comment(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月17日

一足早いブルーインパルス

 岐阜基地航空祭のブルーインパルスを見てきた。えっ?航空祭は明日のはずだって?
 そう、見てきたのは航空祭の前日に行われる事前訓練の方なのだ。事前訓練は結構有名で、毎年、河川敷や沿道には見物人が集まる。

ブルーインパルス_1.JPG
 見事な編隊飛行。機体の姿勢、間隔がぴっちり揃っている。

ブルーインパルス_2.JPG
 スモークオンの瞬間。先頭の隊長機の合図でオンするためか、隊長機だけ若干タイミングが早くてスモークが長い。風下で見ていたのでスモークオイルの燃える臭いが漂ってきた。

ブルーインパルス_3.JPG
 演目・サクラ。少し風が有ったので、描き始めの部分が既に崩れ始めていたのが残念。

ブルーインパルス_4.JPG
 着陸態勢に入ったT-4。ギアとフラップがダウンしている。
posted by まいすた at 16:34| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月31日

火星旅行の軌道計算

 本日2018年7月31日は、火星大接近の日だ。地球と火星の間が非常に近くなることから、もし火星旅行に行くなら、この日の前後が良いのではと考える人はいないだろうか?
 しかし、宇宙旅行はそんなに甘くない。現実的な火星旅行がどんなものになるか計算してみた。

 地球から火星へは、最も効率が良いホーマン遷移軌道を利用しよう(現実の火星探査機もほぼこの軌道)。軌道計算の結果は以下のようになる。

地球-火星遷移軌道.png
 太陽系を北極側から見た図になっている。※軌道は円で近似し、太陽,地球,火星以外の重力は無視
 はロケットの地球出発時の地球と火星の位置、は火星到着時の地球と火星の位置だ。緑線がロケットの辿る軌道となっている。地上から打ち上げられたロケットは、エンジンや月のスイングバイも利用して、地球から100万km離れた位置で地球の公転速度にプラス秒速約3kmに加速することでこの軌道に入ることができる。火星に着くまでには約260日かかり、太陽を半周する長旅になる。
 地球と火星がこの位置関係の時でないと、ホーマン遷移軌道では火星とランデブーできない。ゆえに火星旅行のチャンスは2年2ヶ月に1回と言われる(このチャンスを「火星への窓が開く」とも言う)。

 もちろん、強力なエンジンを使えば、最短距離を短時間で突っ切ることも可能だが、必要とされる推進剤が莫大となるため、あまり現実的ではない。
posted by まいすた at 19:43| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月19日

映画ゴジラ点睛を欠く

 基本的に映像ソフトは買わないのだが(同じ作品を2度見る暇が無いので)、これは買ってしまった。「シン・ゴジラ」だ。
 映画の魅力の一つに「見たい絵を見せてくれる」というものがある。この映画はその点で非常に魅力的だった。(ドラマ部分の素晴らしさは巷で語られまくったので今さら語るまい)
 初っ端の海底トンネルの崩落シーンから、そのリアリティとリズム感の素晴らしさで印象に残る。
 庵野氏はこういう何げない動きの描き方が物凄く上手い。リアルを超えてアートの域に達している。

 庵野氏は「王立宇宙軍 オネアミスの翼」ではスペシャルエフェクトアーティスト(と作画監督)を務めているが、この映画で最も強く印象に残っているシーンは、戦闘機の機銃弾の飛跡の美しさだったりする。必然、シン・ゴジラで攻撃ヘリが機銃を発射するシーンではどんな美しい飛跡が見られるかと期待したが、あにはからんや、子供向け花火のようなショボい飛跡ではないか。一体どうしたことかと頭を抱えそうになるも、このショボさには見覚えがある。これは昭和特撮のオマージュなのだ。そう気づくと、これはこれで趣深い。
 戦車のシーンも素晴らしかった。照準(砲身の向き)をゴジラに指向したまま超信地旋回を行ったり、土を蹴立てる履帯のクローズアップなど、劇場で見ていた時には感動で涙が出た。
 しかし、最も印象に残っているシーンがどこかと問われれば、それは放射線流の発射シークエンスになるだろう。最初、可燃性の生ガスを吐き、そこに点火、そして赤い炎を絞って火力を上げていき、やがて青白い熱線状になる。これはガスバーナの点火シークエンスをなぞっているのは明らかだが、その発想に震えた。

 他にも見所いっぱいの映画なのだが、一つ残念な点を挙げれば、イージス艦からの巡航ミサイルの発射シーンになる。庵野氏は、シャッタやハッチの開閉の動きですら躍動感を持って美しさを感じさせるのだが、VLSのハッチ開放のシーンが無かったのである。もし描かれていれば、さぞやかっちょいーハッチの開放が見れたと思うと、これは口惜しい。
posted by まいすた at 19:00| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月23日

ジャイロモーメントの発生原理

 このブログではたびたび「ジャイロモーメント」という用語を使っている。だが、発生原理にまで踏み込んで、きちんと説明したことが無かったので、この際説明しておこうと思う。

 スピンしている地球ゴマやハンドスピナーを例に、指で支えてそのスピン軸を傾けていく時に、支える指にどのような反力が発生するか考えよう。※本ブログでは、直感的に分かりやすいように回転体から発生するモーメント(指に感じる反力)をジャイロモーメントとしている。回転体を支えるのに必要とされる指の力(外力)の方をジャイロモーメントとしている教科書も多いので注意が必要(モーメントの向きが正反対になるだけ)
 まず、自分の目前で、真上から見て時計回りにスピンしているところを想定する。そして、自分から見て奥側を12時位置、右側を3時位置、手前側を6時位置、左側を9時位置と呼ぶことにする。
 この状態でスピン軸を奥側(12時方向)に倒していくと何が起きるか。回転体の1点に注目してみよう。
 例えば、ある瞬間の回転体の6時位置に相当する1点に注目する。注目した6時位置の1点は、スピン運動のため左向きに移動するとともに、スピン軸を奥に倒している運動のため、上方向に持ち上がる移動をしていることが分かるだろう。そして、その注目した1点はスピン運動によって、やがて9時位置に移動する。
 9時位置では、スピン運動のために奥側に移動するが、スピン軸を奥に倒す運動による上下方向への移動は無い。そして、次にその注目している1点は12時位置に移動する。
 12時位置では、スピン運動のために右側に移動しつつ、スピン軸を奥に倒す運動のため、下方向への移動をする。
 同様に考えていくと、3時位置では、スピン運動で手前側に移動しつつ、上下方向への移動は無い。

 結局、時計回りのスピン軸を奥側に倒していく時、回転体を構成する各部分は3時位置から6時位置を通り9時位置に達する間は、スピン軸を倒す運動のためスピン運動に加えて上方向への運動をし、9時位置から12時位置を通り3時位置に達する間は、スピン運動に加えて下方向への運動をする。
 また、この時の上下方向の運動速度は、6時,12時位置で最も大きく、9時,3時位置に近いほど小さくなっていくことがイメージできるだろう。

 この時にスピン軸を支えている指にどんな反力が働くだろうか?
 反力は、質量を加速した時の反動であるから、回転体を構成する各部分の質量がどういう加減速をしているか考えれば分かる。
 回転体の各部分は6時位置で最も速く上方向に運動しており、9時位置に至る間に遅くなっていき、9時位置では上下方向への運動速度は0、そして12時位置に向かう間に下方向への運動が速くなっていく。同様に12時位置で最も速く下方向に運動しているのが、3時位置を経て、6時位置に向かう間に上方向への運動に変わっていく。
 つまり、回転体を構成する各部分の質量は、スピン運動により6時位置から12時位置まで動く間に下向きの加速度、12時位置から6時位置まで動く間には上向きの加速度を得ていることが分かる。よって、支える指に対して、回転体の左半面は加速度と逆向きになる上向きの反動を生み、右半面は下向きの反動を生むことになる。左右の反動を合わせると、スピン軸を右に傾けようとするモーメントを指に感じることになるのだ。この時のモーメントが、ジャイロモーメントだ。

 まとめると、「上から見て時計回りのスピン軸を奥に倒すと、右に倒す方向のジャイロモーメントが働く」となる。原理から考えれば、スピン方向が逆になった時、当然ジャイロモーメントの働く方向も逆になる。ジャイロモーメントが働く方向は、スピン軸を倒す方向に対してスピン方向に90°進んだ向きにずれるのだ。

 例えば現実の現象として、転がるコインが蛇行しつつも倒れないのは、ジャイロモーメントのおかげだ。転がっているコインが進行方向右側に倒れれば、倒れる軸(地面に平行な軸)から90°進んだ軸(コインを転舵する軸)にジャイロモーメントが発生するので、コインは右に舵を切る動きをして旋回運動になり、その遠心力で右に傾いていたコインは立ち上がる。そして、逆に左へ傾けば、ジャイロモーメントで左へ舵を切るため、同様に旋回の遠心力で立ち上がる。結果的にフラフラとした蛇行運動になる(コインを倒そうとする重力と、回転するコインのジャイロモーメントと、旋回の遠心力を生むコインと床面との摩擦力の複合した現象)。

 ちなみに、ジャイロモーメント(指に感じる反力)を数式で表現すると、

M = I ω × Ω ※"×"はベクトルの外積を表す演算子(右手系座標系)

M:ジャイロモーメントベクトル,I:回転体のスピン軸回りの慣性モーメント,ω:スピンの角速度ベクトル,Ω:スピン軸を傾ける角速度ベクトル
posted by まいすた at 23:15| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月17日

神の杖の憂鬱

 最近、また「神の杖」とかいうトンデモ兵器が話題になっているようだ。重金属の棒を衛星軌道から投下して、凄まじい落下速度を与えるという運動エネルギー兵器の一種なのだが、ちょっと待ってほしい。

 まるで高い塔の上から物を落とすようなイメージだが、塔と人工衛星では事情が全く異なる。塔の頂上では重力がかかっているため、放した物体は素直に落下するが、人工衛星は無重力状態のため、ただ放しただけではそのまま浮いていて落下しない(船外活動する宇宙飛行士をイメージして欲しい)。落下させるには軌道速度を減速する必要がある。このあたりの話は以前に書いた(参考:「紙飛行機の大気圏再突入」)。

 仮に真っ直ぐ落とすとすると、軌道速度を完全に相殺する必要がある。神の杖の宇宙プラットホームの軌道高度は1000kmとのことなので、軌道速度は秒速7.4kmにもなる。そうすると、宇宙プラットホームには、金属棒を後方へ秒速7.4kmで射出、または金属棒自体を推進する装置が必要だ。それでいて、1000kmの高さから真っ直ぐ自由落下する物体は、空気抵抗を無視しても、地表への突入速度は秒速4.1kmにしかならない。
 金属棒を宇宙に打ち上げるのに、まず秒速7.4kmまで加速が必要。宇宙プラットホームから真っ直ぐ落下させる時にまた秒速7.4kmの減速が必要。それで得られる地表への突入速度(※空気抵抗無視)は秒速4.1km。無駄が多すぎる!
 どう考えても、最初の打ち上げ時のロケットで直接撃ち込むべきだろう。弾頭を一度衛星軌道上に上げて保管しておこうとすると、盛大な無駄が生じる。結局、ただの弾道弾でいいのです。
posted by まいすた at 20:04| Comment(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月11日

ミラノの空気を感じる?

 イタリア旅行のお土産に珍しい物をもらった。クノールのインスタントリゾット(アラ・ミラネーゼ)だ。

クノール・リゾット_パッケージ.JPG

 早速作ってみた。作り方は、当然イタリア語で書かれているので、翻訳サイトに打ち込んで日本語に翻訳した。「500ccの水にパッケージの中身を投入して、かき混ぜながら15分間中火で煮ろ」とのこと。水さえ用意すれば事足りるとは、日本の即席麺並みの手軽さだ。パッケージの中身は、米粒と粉末スープが入っていた。
 鍋でかき混ぜながら煮ること15分……長ぇーよ!
 煮ていると、糊の匂いが立ち昇る。あまり食欲を刺激する感じではない。匂いの通り、全体が糊状になって完成だ。

クノール・リゾット_調理済み.JPG

 見た目は"おじや"という感じだが、歯応えはアルデンテだった。ちなみに、鮮やかな黄色はサフランかと思いきや、パッケージ裏面の材料を見るとほとんどがターメリックで、高価なサフランは0.04%しか使われていない。
 味はシンプルに、微かなチーズ風味の塩味だ。ただ、何か具を入れればよかった。あと、水の代わりに牛乳を使うともっと美味しくなるような気がする。
 気に入ったので、日本でも売ってほしいものだ。
posted by まいすた at 01:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月29日

アルミテープを貼ってみた

 クルマのバンパ裏への導電性アルミテープ貼り付けによる空力効果の確認を実施した(参考:「クルマの帯電状況」)。
 当初、操安性に劣るスタッドレスタイヤを履いている間に評価をしようとしていたのだが、クルマにトラブルが頻発して修理に追われてできず、サマータイヤでの評価になってしまった。

 まず問題になったのが、効果の測定方法だ。ただ「貼ってみて、走ってみて、ドライブフィールを確認する」では、あまりにも精度が低すぎる。
 タフトを貼り付けて表面の気流を比較することも考えたが、クルマの側面に観測用のカメラを仕掛けるのは法的にも安全的にも許されないので断念(参考:「デフレクタの効果」)。
 ドライブフィールを比較する官能評価ではブラインドテストをするのが良いのだが、バンパ裏は手軽に貼ったり剥がしたりできるような場所ではないため、現実的ではない(参考「官能評価の注意点」)。なので、明確な評価基準を設定することにした。
 具体的には、高速道路で90km/h走行時にどれだけ白線に沿って走れるかどうかで操安性の変化を評価することにした。都合の良いことに、東名高速道路の白線は車線逸脱警告のための凹凸がついているので、タイヤが乗ると激しい振動が襲ってくるのだ。この白線の凹凸に、ぎりぎりタイヤのショルダーが乗るかどうかの、軽く「クーーー」と鳴る状態の維持のしやすさを操安性の指標とした。これならセンチ単位のラインコントロール性が評価できるはずだ。

 今年の5月頃から、まずはアルミテープを貼ってない状態で、90km/hでの白線への沿いやすさを評価した。高速道路を走ること20日分を超える回数を実施したが、面白いことが分かった。まず基準となる晴れた風の弱い日では、トライ中の40%程度の時間「クーーー」とうまく鳴らすことができた。残りの60%は白線に乗ってしまって激しい振動が出るか、白線から離れてしまっている時間だ。
 ただこの時に、前を走るトラックがいて、それに近づきすぎると、走行ラインのコントロールが難しくなった。トラックの巻きこす後方乱流のせいだろう。風の強い日もコントロールが難しくなったので、この白線に沿わせる方法は空力特性の変化を捉えるのに"使える"と確信した。
 天候が雨の日もあった。雨の日なら帯電が起こらないので、もしかしたら除電の効果が体感できるかもと思ったが、白線の盛り上がりのため、白線際には水が溜まっており、その抵抗のせいでステアフィールが大幅に変わってしまい、比較できなかった。

 アルミテープを貼っていない状態で、白線への沿いやすさを十分評価した後、9月にクルマのフロントバンパを分解してアルミテープを貼り付けた。
除電テープ.jpg
 写真のように、細長く切ったテープを縦に4枚貼り付けた。場所は、バンパコーナーから側面にかけての境界層が剥離しやすい場所だ。

 基準とした晴れた風の弱い日に、10日分ほど白線への沿いやすさを評価してみると、トライ中の60%程度の時間「クーーー」と鳴る状態を維持できた。コントロール性が向上していた。
 その主な要因は、ステアリングインフォメーションの向上だった。ステアリングインフォメーションがはっきりして、「クーーー」と鳴る状態からタイヤが外れそうな兆候が感じ取りやすくなったのだ。この変化は、ちょうどフロントタイヤ前のデフレクタを付け/はずしした時の変化に似ていた(参考:「デフレクタの効果」)。フロントタイヤ周りの乱流が抑制された効果が出たのだろうと考えられる。
posted by まいすた at 01:00| Comment(16) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする