2017年11月29日

アルミテープを貼ってみた

 クルマのバンパ裏への導電性アルミテープ貼り付けによる空力効果の確認を実施した(参考:「クルマの帯電状況」)。
 当初、操安性に劣るスタッドレスタイヤを履いている間に評価をしようとしていたのだが、クルマにトラブルが頻発して修理に追われてできず、サマータイヤでの評価になってしまった。

 まず問題になったのが、効果の測定方法だ。ただ「貼ってみて、走ってみて、ドライブフィールを確認する」では、あまりにも精度が低すぎる。
 タフトを貼り付けて表面の気流を比較することも考えたが、クルマの側面に観測用のカメラを仕掛けるのは法的にも安全的にも許されないので断念(参考:「デフレクタの効果」)。
 ドライブフィールを比較する官能評価ではブラインドテストをするのが良いのだが、バンパ裏は手軽に貼ったり剥がしたりできるような場所ではないため、現実的ではない(参考「官能評価の注意点」)。なので、明確な評価基準を設定することにした。
 具体的には、高速道路で90km/h走行時にどれだけ白線に沿って走れるかどうかで操安性の変化を評価することにした。都合の良いことに、東名高速道路の白線は車線逸脱警告のための凹凸がついているので、タイヤが乗ると激しい振動が襲ってくるのだ。この白線の凹凸に、ぎりぎりタイヤのショルダーが乗るかどうかの、軽く「クーーー」と鳴る状態の維持のしやすさを操安性の指標とした。これならセンチ単位のラインコントロール性が評価できるはずだ。

 今年の5月頃から、まずはアルミテープを貼ってない状態で、90km/hでの白線への沿いやすさを評価した。高速道路を走ること20日分を超える回数を実施したが、面白いことが分かった。まず基準となる晴れた風の弱い日では、トライ中の40%程度の時間「クーーー」とうまく鳴らすことができた。残りの60%は白線に乗ってしまって激しい振動が出るか、白線から離れてしまっている時間だ。
 ただこの時に、前を走るトラックがいて、それに近づきすぎると、走行ラインのコントロールが難しくなった。トラックの巻きこす後方乱流のせいだろう。風の強い日もコントロールが難しくなったので、この白線に沿わせる方法は空力特性の変化を捉えるのに"使える"と確信した。
 天候が雨の日もあった。雨の日なら帯電が起こらないので、もしかしたら除電の効果が体感できるかもと思ったが、白線の盛り上がりのため、白線際には水が溜まっており、その抵抗のせいでステアフィールが大幅に変わってしまい、比較できなかった。

 アルミテープを貼っていない状態で、白線への沿いやすさを十分評価した後、9月にクルマのフロントバンパを分解してアルミテープを貼り付けた。
除電テープ.jpg
 写真のように、細長く切ったテープを縦に4枚貼り付けた。場所は、バンパコーナーから側面にかけての境界層が剥離しやすい場所だ。

 基準とした晴れた風の弱い日に、10日分ほど白線への沿いやすさを評価してみると、トライ中の60%程度の時間「クーーー」と鳴る状態を維持できた。コントロール性が向上していた。
 その主な要因は、ステアリングインフォメーションの向上だった。ステアリングインフォメーションがはっきりして、「クーーー」と鳴る状態からタイヤが外れそうな兆候が感じ取りやすくなったのだ。この変化は、ちょうどフロントタイヤ前のデフレクタを付け/はずしした時の変化に似ていた(参考:「デフレクタの効果」)。フロントタイヤ周りの乱流が抑制された効果が出たのだろうと考えられる。
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2017年09月29日

角運動量はどこへ消えた?

 角運動量保存則というものがある。いろいろな説明の仕方があるが、一例としては、

「外部との力のやり取りが無い(と見なせる)系の中では、角運動量は常に一定である」

と説明できる。
 つまり、外部との力のやり取りが無い系の中では、何かに角運動量を与えると、別のどこかで必ず同じだけの角運動量が減少し、系全体の角運動量は常に一定のままとなる。

 さて、ここでコマを回すことを考えてみる。
 コマを回す前、コマの角運動量はである(※厳密に表現すると「人間に貼り付いた座標系で、肉眼での観測精度においては」だが)。
 次にコマを指でつまんで回したとする。この時「コマは角運動量を得た」と言える。
 すると、角運動量保存則に照らせば、コマの得た角運動量分はどこで減少したのだろうか?

 指の力で回したのだから、その体力分か?
 これは違う。こちらはエネルギー保存則の話だ。コマが得た角運動エネルギーのエネルギー源が指の力(体力)というだけのことだ。

 例えば、このコマを回すという行為が、宇宙ステーションの実験でよく見る、無重力状態で行われたとしたらどうか?
 小さいコマだと分かり難いが、ギネス記録に載る様な巨大なコマだったとしたら、宙に浮いた宇宙飛行士がコマを回すと、飛行士の体の方もコマと逆方向に回ってしまうことが容易に想像できるだろう。
 この場合、コマに与えた角運動量とちょうどマイナス(逆回転)の角運動量が宇宙飛行士の体にも生じて±0となるため、角運動量の合計としてはコマを回す前のと等しいままだ。角運動量が保存されていると理解できる。

 では、地上の普通の家庭のコマ遊びではどうなっているのか?
 地上ではコマを回しても、回した人の体が逆方向に回り出したりしない。その原因は、回した人と床面との摩擦力にある。コマを回した反作用は、人の体を伝わり、摩擦力で地面(=地球)に伝わっている。つまり、コマを回した反作用で、地球を反対方向に回しているのだ。コマに与えた角運動量と逆向きの同じ大きさの角運動量を地球に与えていることになる。

 コマを回す人と地球は、地面との摩擦力で力をやり取りしているので、角運動量保存則を考える時は地球も系の中に含めなくてはいけない。

 もちろん、コマを回した反作用で地球の自転に影響が出ているとしても、観測など出来るわけがない。なぜなら、地球の慣性モーメントが、人間がコマに与えられる角運動量に比べて文字通り桁違いに大きいからだ。
 どういうことかというと、角運動量は、慣性モーメント×角速度(回転数)で計算できるが、地球の自転(回転数)の変化量を計算する式は−[コマに与えた角運動量]/[地球の慣性モーメント]となるので、地球の自転の変化などほぼに等しくなる。が、どんなに小さくても理論上0にはならない(概算で1/10^40回転/秒ぐらい地球の自転速度に影響を与える)。

 似たような話で、人間が100m走でダッシュしても、クルマが発進しても、地面を蹴った分だけ地球の自転に影響を与え、逆に減速して止まる時に同じだけ地球から返ってくる。
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2017年08月19日

北朝鮮、ミサイル、ウクライナ

 北朝鮮のICBMのエンジンがウクライナ製だったとニュースが流れている。これを聞いて連想したのが、手嶋龍一先生の小説「ウルトラダラー」だ(参考:「専門家の書いた小説が面白い」)。
 2006年の作品だが、作中で「ウクライナ製の巡航ミサイルをロシア向けと偽って北朝鮮へ密輸している」という情報が出てくる。今回のニュースではロケットエンジンだったが、ウクライナの軍事技術が北朝鮮へ流出しているという小説のネタが現実であった、もしくは現実となったことが判明した。
 手嶋先生はこのネタをどこから仕入れてきたのだろうか?情報の出所が非常に気になる。
 なぜなら、下記のような言葉があるからだ。

 「情報とは発信者が利用するものでもあるのですよ」
              −加藤元浩 作「ロケットマン」第4巻より−

 なお、上記「ロケットマン」は少年漫画には珍しい、生粋のインテリジェンスコミックだ。

 小説内のミサイルネタは日本への警告の意味があったように思うのだが、発信者の意図通りに働いたのだろうか?
 北朝鮮の暴走を見ていると、外交がうまくいっているように思えないが、インテリジェンスの世界は、知ってる振り/知らない振り も当たり前なので、市井の身には分からない。
posted by まいすた at 23:54| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月29日

摩擦力はいくらか?

 唐突に質問です。

「水平な机の上に重量10gの消しゴムを置きました。消しゴムと机の間の摩擦係数が1.0だとすると、消しゴムに働いている摩擦力はいくらでしょうか?(単位は[gf]で)」

 垂直抗力が10gfで摩擦係数が1.0なので、答は10gfでしょうか?

 違います。正しい答は「0gf」、働いている摩擦力は0です

 10gfが正しいはずだと思うのなら、どうぞ上から見た「机と消しゴムの図」に摩擦力のベクトルを作図してみてください。ベクトルの大きさは10gfですが、さて、向きは?
 消しゴムの重心から東西南北のどの方向にベクトルは向くのでしょうか?
 作図できないことに気付くと思います。なぜなら、正しくは摩擦力は0だからです。

 じゃあ、授業で習った「摩擦力は垂直抗力と摩擦係数の積」というのは何だったのでしょうか?
 この式で得られるのは"最大"摩擦力です。外力と釣り合うことができる最大の摩擦力です。そう、摩擦力は外力が働いて初めて、それに抵抗する形で働きます。

 消しゴムを3gfの力で東方向から押すと、東向きに3gfの摩擦力が働き、消しゴムは動きません(外力が働いて初めて作図するベクトルの向きが決まります)。また、机を南へ30°傾けると、重力(の机の面に平行な成分)の5gfがかかりますが、北向きに5gfの摩擦力が働いて、消しゴムは斜面に留まります。最大摩擦力以下の外力に対しては、逆向きに同じだけの摩擦力が働いて、消しゴムに働く力が釣り合うので、消しゴムは動きません。

 では、最大摩擦力を越える15gfで押した場合は?
 この場合は、摩擦力は(静止摩擦係数と動摩擦係数が同じとすると)最大の10gfが働き、その分は外力に対抗しますが、外力の残り5gf分は消しゴムの加速に使われ、慣性力と釣り合う形になります。

 「摩擦力は外力と釣り合う分しか働いていない」ということに注意してください。
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2017年05月17日

まるで浮き城砦

 GWにちょっとお船を見に行ってきた。舞鶴港まで。
 そう、見に行ったお船とは、海自の護衛艦である(参考:海上自衛隊・舞鶴地方隊HP)。写真や映像では見ていたが、実物を見るのはこれが初めてだ。

 通常は入場時に受付が必要なのだが、GWで混雑防止のためかフリーパスだった(そのせいか分からないが艦内見学は無かった)。
 北吸桟橋に入場すると、目の前にそびえるのは、ヘリコプター搭載護衛艦の「ひゅうが」だ。
ひゅうが.jpg
 甲板の位置が高いおかげで、オーバーハングが圧し掛かるようにそびえたつ舷側に圧倒される。写真で見ていたイメージよりもはるかにデカい
 ちなみに、4基のガスタービンエンジンの出力は合計10万馬力。鉄腕アトムと互角だ。

 その後ろには、護衛艦の「ふゆづき」とミサイル護衛艦の「みょうこう」がメザシ係留されている。
ふゆづき・みょうこう.jpg
 左のふゆづきの方が新鋭艦だけあって、艦上構造物は洗練された感じがする。右のみょうこうはいわゆるイージス艦で、これも10万馬力だ。

 実は一番のお目当てだったミサイル護衛艦の「あたご」は対岸でメンテ中のようだった。
あたご.jpg
 みょうこうと比べて、マストや127ミリ砲がステルス化されて洗練度が上がっている。これもまた10万馬力なのだ。

 なお、見学は昼ごろだったのだが、桟橋で係留艦に近づいたらカレーの臭いが漂ってきていた。そういえば、この日は金曜日だった。海軍カレーの日だ。

 今回、一つ問題があった。艦内を公開している艦が無かったので、甲板上が見えないことだ。そこで、北吸桟橋の背後の高台にある旧北吸浄水場に上ってみた。そこはみょうこうのマストの先端と同じくらいの高さになるので、甲板上を見下ろすことができる。
ひゅうが_2.jpg
 ひゅうがの飛行甲板が見えた。ヘリはいなかった。

VLS_ふゆづき・みょうこう.jpg
 ふゆづき,みょうこうの甲板上のCIWS,VLS,127ミリ砲。特に世代による127ミリ砲の形状の違いがよく分かる。手前のふゆづきの方は角張ったステルスシールドをかぶっている。

 ぜひ次回は艦内公開のある日に行って、遊覧船も乗りたい。
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2017年04月23日

改稿・イニシャルトルクとトルクバイアス比

 以前、多板クラッチ式LSDのイニシャルトルクとトルクバイアス比について書いたが、前回の「イニシャルトルク」の定義の誤解の件も有ったので、あれから新たに得た知見についても追加して改稿します(参考:「イニシャルトルクとトルクバイアス比」)。

 LSDの効果を見るには、両駆動輪のトルクの関係を見ればいい。
 ここで注意が必要なのは、多板クラッチ式LSDはイニシャルトルクを発生させるプリロードの掛け方に2種類あることだ。それによって、トルクの伝達の仕方が異なる。

(1)対向プリロード式(公式な名称ではなく筆者独自の呼称)
 カムがプレッシャリングを押し開く力と、プリロードのスプリング力が対向している、以下の模式図のような構造になる。
LSD_1.png

 昔ながらの一般的な構造で、実際の製品としては、CUSCOのtype-MZなどになります。

 この方式でのLSD作動時の両輪のトルク容量の関係式は、以下のようになる。
 全駆動トルクTの作用したLSDのカムがクラッチを押し広げることで発生する圧着力Fcは、

Fc = tanθ T / 2Rc

θ:カム角,Rc:カム力作用点半径

 また、全駆動トルクTは両輪の駆動トルクの合計になるので、

T = Th + Tl

Th:高駆動側トルク(低速側),Tl:低駆動側トルク(高速側)

 この時の片側のクラッチ板が伝達できるトルクTcには注意が必要。カムが押し広げる力がプリロードを超えて初めてクラッチ板の圧着力はプリロードより増すからだ←これは力学が苦手な人には非常に理解が難しいので要注意
 カムの押し広げ力の大きさで場合分けをして、

Fc < Fpの時:
 Tc = μ Fp Rf = Ti

Fc ≧ Fpの時:
 Tc = μ Fc Rf = Rf μ tanθ T / 2Rc
 (この時、Tc > Ti)

Fp:クラッチ板プリロード,μ:クラッチ板摩擦係数,Rf:クラッチ板摩擦力中心半径,Ti:イニシャルトルク

 ここで、ロッキングファクタλとトルクバイアス比δを定義する。

λ ≡ μ tanθ Rf / Rc
δ ≡ ( 1 + λ ) / ( 1 - λ )

 高駆動側トルクThは低駆動側トルクTlに両側のクラッチ板伝達トルクTcが加わったものなので、

Tc < Ti つまり、Tl < 2Ti / ( δ - 1 )の時:
 Th = Tl + 2Tc
   = Tl + 2Ti

Tc ≧ Ti つまり、Tl ≧ 2Ti / ( δ - 1 )の時:
 Th = Tl + 2Tc
   = Tl + λ ( Th + Tl )

  Thについてこの方程式を解くと、

 Th = δ Tl

 例として、トルクバイアス比=3,イニシャルトルク=50Nmの場合をグラフで表すと、以下のようになる。
駆動配分グラフ_1.png

(2)並行プリロード式(公式な名称ではなく筆者独自の呼称)
 カムがプレッシャリングを押し開く力と、プリロードのスプリング力が並行している、以下の模式図のような構造になる。
LSD_2.png

 実際の製品としては、CUSCOのtype-RSなどになります。マツダ純正のスーパーLSDも(カムの代わりにピニオンギヤの噛合い反力を利用するという違いはありますが)内側からスプリングでプリロードをかけていて、力学的にはこちらと同様となります。

 この方式でのLSD作動時の両輪のトルク容量の関係式は、以下のようになる。
 クラッチ板にかかるカム力や、全駆動トルクと両輪駆動トルクの関係は(1)と同様。
 この時の片側のクラッチ板が伝達できるトルクTcは、

Tc = μ ( Fc + Fp ) Rf = Rf μ tanθ T / 2Rc + Ti

Fp:クラッチ板プリロード,μ:クラッチ板摩擦係数,Rf:クラッチ板摩擦力中心半径,Ti:イニシャルトルク

 高駆動側トルクThは低駆動側トルクTlに両側のクラッチ板伝達トルクTcが加わったものなので、

Th = Tl + 2Tc
  = Tl + λ ( Th + Tl ) + 2Ti

 Thについてこの方程式を解くと、

Th = δ Tl + ( δ + 1 ) Ti

 例として、トルクバイアス比=3,イニシャルトルク=50Nmの場合をグラフで表すと、以下のようになる。
駆動配分グラフ_2.png

 これらを見て分かるのは、駆動輪のインリフト時のトラクション確保には、(2)並行プリロード式の方が低いイニシャルトルクで高いトラクションが得られていいなということだ。
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2017年03月19日

訂正・イニシャルトルクの測り方

 以前、多板クラッチ式LSDのイニシャルトルクを車載状態のまま簡易的に測定する方法について書いたが、申し訳ないことに「イニシャルトルク」の定義に誤解が有ったので、訂正を行います(参考:「イニシャルトルクの測り方」)。

 以前に書いた間違ったイニシャルトルク測定法

(1)両方の駆動輪をリフトアップ(後輪の場合はサイドブレーキを解除)
(2)シフトをロー/パーキングに入れてデフケースの回転を固定
(3)一方の車輪でトルクレンチを使って差動トルクを測定
 (1WAYや1.5WAYだとプリロードの方式次第で、測定時の回転方向によって測定値が変わる場合がある)

 これで測れるのはイニシャルトルクではなく、インリフトなどで片輪が浮いてしまった場合の接地側に掛けられる駆動トルクだ。これがイニシャルトルクであると誤解していた。

 正しいイニシャルトルクの定義は、「一切駆動/制動力をかけていないニュートラル時の左右輪の差動トルク」である。

 なので、正しい測り方としては以下のようになる。

(1)両駆動輪をリフトアップして片側のホイールに棒などを突っ込んで回り止めをする
 (または片側の駆動輪だけをリフトアップ)
(2)シフトはニュートラルにしてデフケースの回転はフリー状態にする
(3)回り止めをしていない車輪の方でトルクレンチを使って差動トルクを測定
 (ニュートラルで測定するので1WAYや1.5WAYであっても測定時の回転方向に測定値は左右されない)

 ※安全のため(1)は両輪リフトアップしての回り止め方式を推奨します
 (片輪接地状態で駆動輪にレンチでトルクをかけるとクルマが動いてしまう恐れがあります)


 ちなみに、上の方で書いた片輪リフト時駆動トルクは、皿バネで多板クラッチの外側からイニシャルトルク用のプリロードをかける(プリロードとカムの押し開く力が対向している)タイプの多板クラッチ式LSDだと、イニシャルトルクの2倍の値になる。
 また、この対向プリロード式は1WAYや1.5WAYであっても、測定時の回転方向によって片輪リフト時駆動トルクの測定値が変わることは無い。

 これが、コイルスプリングなどでプレッシャリングの内側からプリロードをかける(プリロードとカムの押し開く力が並行している)タイプになると、カム角の作用でイニシャルトルクの2倍よりも大きな値(厳密にはイニシャルトルクの"トルクバイアス比+1"倍)になる。
 この並行プリロード式は1WAYや1.5WAYでは、測定時の回転方向によってトルクバイアス比が異なるため、片輪リフト時駆動トルクの測定値が変わる。

 逆にイニシャルトルクと片輪リフト時駆動トルクの値を比べれば、搭載されているLSDのプリロードの方式が判別できる。
posted by まいすた at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月31日

理想的デジカメ

 デジカメを買った。と言っても、新しいデジカメが欲しくなったわけでは無い。良い中古品があったので、つい買ってしまった。
 下の画像の左側、Canon PowerShot A720ISが今回買ったもの。右側のA710ISは以前からサブ機として使っているものだ。
PowerShot A710,720_2.jpg
 A710ISを持っているのに、なぜほとんど変わらない後継機のA720ISも買ったのかと言えば、A710ISが壊れた時のための予備機としてである。
 このシリーズは、個人的に名機だと思っている。マニュアルモード、手ブレ補正、各種フィルタ・コンバータ使用可能、不満のない画素数、そして何よりも、現行ではほぼ絶滅した光学ファインダと単3乾電池駆動がある。
 特に中古デジカメにおいて単3乾電池駆動の利点は計り知れない。古いデジカメが使用できなくなる最大の原因は、新しいバッテリーの入手が極めて困難なことだろう。手持ちのバッテリーの寿命が尽きたらそれまでだ。どんなに気に入ったカメラであったとしても諦めるしかない。だが、乾電池駆動ならその心配はまず無い。本体の寿命まで使い続けることができるのだ。
 今後こんなモデルが出ることは期待できないので、予備機を確保しておきたかったのだ。

 しかし、A720ISはA710ISに比べると質感が低下しているな。筐体の前面やアダプタリングが金属製から樹脂製に変わっている。製造も、国産から中国に変更になっていた。コスト削減が見て取れる。
posted by まいすた at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月31日

クルマの帯電状況

 以前に、箔検電器を作った(参考:「ひらけ!箔検電器」)。これを使って、クルマのボディの帯電状況を徹底的に調べてみた。
 まず、本当に検出できるか確認した。フェンダライナやアンダーカバーをティッシュで擦って帯電させてから、箔検電器を当ててみると箔が大きく開いた。ティッシュで擦ったストローと同レベルの箔の開きだった。ただし、バンパは塗装のせいかティッシュで擦っても帯電させられなかった。
 また、帯電の維持される時間を調べると、2,3分で自然放電して箔検電器は反応しなくなることが分かった。クルマを止めて外装の帯電状況を調べる時は急ぐ必要がある。なお、風が強い日は放電が速くなるようだ(もしくはその日の湿度のせいかも)。
 次はいよいよ走行による帯電の確認だ。

 結論から言うと、全く帯電を検出できなかった。

 高速道路を走るたびにSAに駆け込んでは、クルマを飛び降りて素早くバンパやアンダーカバーやタイヤに箔検電器を当ててみたが箔は全く動かなかった。また、走行中にもフロントガラス、サイドガラス、ステアリングコラムに当てておいたが、これらも同じく箔は動かない。天候の影響も考えて、何度も日を変えては確認したが結果は同じだった。
 おそらく、走行による帯電は電圧がそんなに高くなく、そのため箔が開かないのではと推測される(箔検電器が開くには500〜1000Vの電圧が必要)。
 勝手な希望として「アルミテープを貼る前に箔検電器で帯電が確認でき、アルミテープを貼ったら帯電しなくなった」という結果を期待していたが、現実はそんなに甘くなかった。

 次はいよいよアルミテープを貼ってみて、官能評価をするしかあるまい。
 とういことで、「3M 導電性アルミ箔テープ」を購入した。あと、コロナ放電はエッジから発生するため、エッジを増やすためにギザギザに切れる「工作はさみ ギザッコU」も購入した。

導電性アルミテープ.jpg
 ちなみに、このギザッコUは素晴らしいレベルの工作精度で「さすが関の刃物」と言いたい。アルミテープも何の問題も無くスッパリ切れる。

 アルミテープを貼るのが今のタイミングになったのは、上記の帯電確認をやっていた以外にも理由がある。スタッドレスタイヤに交換するのを待っていたのだ。
 夏タイヤはハイグリップタイヤのせいか、高速走行でも操安に全く問題がなかったので、アルミテープによる改善効果が確認できないのではと思ったのだ。
 対して、スタッドレスは蒟蒻を踏んでるような、レスポンスの悪さ,ヨー収束の悪さ,ヨーゲインの低さ があるので、アルミテープによる空力安定の効果が分かりやすいと期待している。
 果たして、効果を体感できるだろうか?

'17.11.29追記:「アルミテープを貼ってみた
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2016年11月23日

官能評価の注意点

 このブログのアルミテープチューン関連の記事に、異例のコメント数がついていることからも分かるように、クルマ好きの間でかなり盛り上がっているようだ(参考:「続・アルミテープで空力チューン?」)。
 ネット上では、多くの人たちがいろいろ試して効果を報告しているが、気になるところがある。
 ほとんどの方は専門家ではないので、測定器を持ってるわけも無く、チューンの効果の確認は、実際に乗って五感で感じるだけの官能評価に頼らざるを得ない。しかし、官能評価には「先入観」という大きな問題がある。
 人間、効果があるはずだと思うチューンを施すと、物理的には効果が無くても、体感では効果があるように感じてしまうことがある。いわゆる"気のせい"だ。これを防ぐにはどうしたらよいだろうか?

1.ブラインドテストをしよう
 先入観の影響を排除する最も簡単な方法は、チューンがされているかされていないか分からない状態で評価することだ。ただ、これには協力者が必要になる。協力者にチューンを施す/施さないをランダムにしてもらい、どちらか分からない状態で評価を行う。最後に協力者と答え合わせをし、実際に体感できたかを確認する。10回繰り返して誤答が1回以下ならば、99%の確率で「効果がある」と言える(1%の確率でただの偶然の正解;二項分布から算出)。
 また、この時に評価者が協力者の行動を予測できないよう、例えば協力者はコイントスでチューンを施すかどうかを決めるといい。問題はコインの片側ばかりが出続けてしまうといった場合(確率は非常に低いがあり得る)だが、その時は回数を増やすしかないでしょう。

2.定量評価をしよう
 1.のブラインドテストで、効果の有無が体感できると分かったら、次は「どのくらい効果があるのか?」を評価しよう。また、簡単に着けはずしのできないチューンで、上記のような繰り返しのブラインドテストができない場合にも、厳密性を上げるのに有効だ。
 この時、多角的に評価できると良いので、レーダーチャートを作成するのがいい。例えばハンドリングについて記述するなら、直進安定性・応答性・ゲイン・リニアリティなどの軸を設定する。
 次に基準となるレベルを設定する。レベルの基準は異なる2つを設定すると比較がしやすい。例えば、応答性について、夏タイヤの時のレベルを4、冬タイヤの時を2とおいて、目的のチューンをした時にどのレベルになっているかを評価する。明確な比較の基準を作ることで、"気のせい"を排除しやすくなる。
 なので、日ごろから基準となるレベルを常に意識して体に染み込ませておかないといけない。例えば上記のタイヤによる差。エンジンなら、エアコンのコンプレッサを入れた時やライトを点けた時のトルクの食われ感や、気温による変化。転がり抵抗なら、雨の日の抵抗感や、わざとタイヤの空気圧を変えた時の差。空力なら、気温による変化や、大型トラックの後ろについた時の変化とか、わざと空力パーツを外してみた時の差。

 これらのことに気を付けると官能評価でも結構正確に評価できるはずだ。かなり大変だが、性能を評価するというのはダイエットと同じで楽な方法は無いのだ。
posted by まいすた at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月07日

やっぱり来た、航空祭

 今年もブルーインパルスが来ない岐阜基地航空祭。それでも来たのには、今年は米軍のF-16のアクロバット飛行と、国産ステルス実証機X-2の地上展示があるからだ。ただ、X-2の見学は長時間の行列ができていたため、時間の都合もあって断念した。

F4 2機編隊.jpg
 後継機のF-35の配備が開始されたが数がそろうのに時間がかかるため、まだまだ現役続行のF-4。

F16_2.jpgF16_1.jpg
 米軍F-16のアクロバット飛行。F-2とそっくりだが、主なところでは主翼のシルエットに違いがある(F-2の方が大きく、運動性に優れる)。
 飛び方は、空自に比べると"やんちゃ"の一言。低空飛行時の航過速度が段違いに速い(カメラを振るのが大変)。急上昇でも、あっという間に高空に上って行く。旋回もかなりの高Gのように見える。抜群の迫力だった。

XC2.jpg
 次期輸送機のXC-2。何だろう、フクロウのような可愛さがある。それでも、やはり目前を航過する時は大型機なりの迫力があった。
posted by まいすた at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月19日

ひらけ!箔検電器

 前回、走行するクルマは本当に帯電するのかを確認しようとした。ただ、帯電リボンを使う方法は風に弱く、外装の帯電状況を調べることができなかった。(参考:「帯電をチェック」)
 そこで風に影響されずに帯電状況をチェックできるように、コメントでもおすすめされたペットボトル箔検電器を製作した。

箔検電器_無帯電.png
 針金を曲げて、一方の端に2枚のアルミ箔をそれぞれ揺動自在に隣合せでぶら下げ、もう一方はペットボトルのキャップに穴をあけて出す。そちらは枠形状にしてアルミ箔を張って電極とした。
 使うペットボトルは、中の見やすいフラットな側面形状のものがいい。針金とキャップは接着剤で固定してある。
 2枚のアルミ箔は、下半分を隙間なく密着するような形状に成形(箔の重心が支点の真下に来た状態で2枚の箔が密着するようにするには画像のようにS字形状にする必要がある)。密着させることでわずかな帯電でも箔が開くので、検出感度が上がる。

箔検電器_帯電.png
 ストローをティッシュで擦って負に帯電させ、検電器に乗せた。箔が帯電して、クーロン力で開いた。ストローの帯電量は、静電気特有の産毛の逆立つ感じを全く感じさせないほどの弱さだが、箔は大きく開くので感度は抜群だ。

箔検電器_帯電残.png
 ちなみに、ストローを取り去っても箔は開いたままだ。ストローを電極に接触させていたため、ストローが箔の正電荷を奪ったのだ。なので、箔は負に帯電している。その証拠に、ストローをペットボトルの側面に近づけると、ストローと反発して箔は逃げる動きを見せる。
 電極に手を触れると、人体に電荷が逃げるので箔は閉じる。透明なボトル部分に触れても箔は閉じない。
 不思議なのは、緑のキャップ部分に触れても箔が閉じるのだ。ただし、閉じる速度は電極に触れた場合よりもかなりゆっくりだ。キャップの材質は絶縁抵抗が小さいのだろうか。

 これで走行時のクルマのボディの帯電もチェックできるようになった。
posted by まいすた at 22:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月29日

帯電をチェック

 このブログのアクセス数が急増して驚いた。
 原因は、クルマのボディにアルミテープを貼って空力を改善するという手法が、自動車雑誌やネットニュースで紹介されたため、以前に書いた記事:「アルミテープで空力チューン?」他にアクセスする人が増えたためだった。

 それに関連して、走行するクルマは本当に帯電するのか確認することにした。
 帯電状況を調べるため、表面電位計を買おうかと思って調べたら、安いものでも5万円以上もしたので諦め、帯電リボンを作った。

帯電リボン.JPG
 写真は、ポリエチレン製のコンビニ袋を切り抜いた2枚のリボンを、樹脂パイプに取り付けたものだ。何故2枚なのかは、右の写真を見てもらえば分かるが、帯電するとリボンが互いに反発し合って開くので、帯電しているかどうかが一目瞭然になるのだ。
 リボンを帯電させる方法は、ティッシュで擦るだけで良い。コツは、リボンをティッシュで挟んだら素早く引くこと。引き切る最後の、リボンとティッシュが離れる瞬間を素早くすることで強く帯電する。帯電列を参照すると、ポリエチレンのリボンは、ティッシュによって負に帯電することが分かる。

帯電リボン-ストロー.JPG
 左の写真は、ストローを同じようにティッシュで擦って、負に帯電させたものを近づけた時のものだ。静電気の極性が同じため、斥力が発生してリボンが逃げている。
 右の写真は、そのストローを湿らせて、同じようにリボンに近づけたものだ。水分のせいで放電してしまったため、リボンは逃げずに静電気の作用でくっついた。
 ネットを見ると、例のアルミテープの評価を雨の中でやっている人を見受けるが、濡れたボディやタイヤは帯電しないので意味が無いのである。ご注意されたい。

 このリボンを持ってクルマの帯電状況を調べてみた。
 ボディが負に帯電していればリボンは反発し、帯電していなければリボンはくっつき、正に帯電していればリボンを近づけただけで引っ張られるはずだ。
 クルマを数kmほど走らせて、帯電させたリボンを各所に近づけてみる。まず、運転席でステアリングコラム、ステアリングホイール、フロントガラス、サイドウィンドウと調べるも、どこも帯電していないようだった。
 クルマの外に出て、フロントバンパサイド、リアスポイラ、タイヤなどを調べようとしたが、風に邪魔されてリボンの動きが観察できなかったので諦めた。ガレージがいるなあ。
 今回のテストでは帯電を確認できなかったが、走行距離は短いし、最近ずっとじめじめと湿度の高い天気なので、今後もっと長い走行距離・帯電しやすい気象条件で再確認してみたい。
 しかし、棒の先に白いリボンが付いたものを持って、クルマの周りで振りかざしていると、お祓いでもしているのかと誤解されそうだ。
posted by まいすた at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月17日

お尻のムレよさらば

 この時期バイクに乗る時の悩みは、暑さによるお尻のムレだ。ひどいと汗疹ができて、バイクを降りた後でも苦しむことになる。何とか対策をせねばと思い、「ナンカイ バイク用 メッシュカバー」を導入してみた。これはメッシュ状のシートカバーで、お尻と座面の間に通気可能な隙間を作るものだ。

 結果から言うと、「これは素晴らしい!」。

 この一夏使ってみたが、ムレがかなり軽減される。かといって、座り心地も悪くなく、スポーツライディング時の車体との一体感にも悪影響が感じられない(素人レベルの感想ですが)。クルマのシートに導入したら、ホールド性を著しく低下させてしまったクールクッションとは雲泥の差だ(参考:「通風クッション」)。

 だが、問題点が無いわけでは無い。
 バイクによっては、シートへの固定が難しい。前後2本のベルトでシートに巻き付けるだけなので、ベルトが挟まってシートの車体への嵌め込みを妨げたりする。個々のバイクのシートと車体の合わせ面の構造に合わせた工夫が必要になるだろう(私の場合、故意に前側のベルトを緩くしたり、シートと車体の合わせ面で後側ベルトが干渉しない位置に合わせたり)。
 他にも、カバーの厚さ分だけ座面が上がるので、背の低い人は足つき性に注意が必要。
posted by まいすた at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月29日

蛍狩り

 蛍狩りに行ってきた。5年前と同じ場所である(参考:「地上の星空」)。

蛍_1.png蛍_2.png

 例年に比べると、数は少ない気がするが、飛び回る元気さは上のような気がした。見に行った時期の違いのせいもあるかもしれないが。
 最近はあまり「蛍狩り」という言葉を聞かない。「狩り」という言葉が蛍獲りと誤解させるからだろうか?
 野生生物の撮影は気を使う。気配を殺し、獲物を探し、照準を合わせ、シャッタを切る。猟銃を使った狩猟みたいだ。
posted by まいすた at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月31日

ホイール剛性の不都合な真実

 クルマの運動性にとって、ホイールの剛性は高い方がいいと思っていた。思っていたが、それを確認したデータを見たことが無かった。そのデータを見つけた。
 といっても確認した結果は「剛性は高い方がいい」というものではなかった。
 見つけた文献は、「平野 敦史:ホイール剛性が操縦安定性に及ぼす影響,自動車技術会学術講演会前刷集,No.9-14,(2014-5)」だ。著者の平野さんは、本田技研 四輪R&Dセンターのエンジニアだ(発表当時)。
 この文献の序文にも書かれているが、ホイール剛性と操縦安定性について、ほとんど定量的に評価されたことが無いようで、今までにデータを見たことが無かったのも当然だった。

 実験の内容は、純正ホイールとディスクやリムを補強した高剛性ホイールで車両の運動性を比較している。テスト車の車種は名言されていないが、スペックでは、2.4L直4エンジン、6速MT、FF2ドアクーペ、フロント:ストラット、リヤ:マルチリンク、全長:4473mm、ホイールベース:2670mm、車重:1275kgとなっている(該当車種が見当たらないが、試作車かな?)。

 試験結果は驚異的だった。
 純正ホイールに比べて、コーナリング限界(横G)が向上したのは、リムのみを補強したものだけだった。ディスクのみを補強したものでは純正より若干限界が低下し、リムとディスクを両方補強したものでは大幅に限界が低下しており、最高値のリムのみ補強に対して約9%も低くなっている。
 ホイールの剛性を十数%変えただけで、コーナリング限界がここまで変わってしまう。しかも、単純に剛性の大小が関係するのではなく、各部位の剛性バランスまで関係してくる。これはホイール選びにおいて、かなり悩ましいことになる。

 コーナリング限界の変化の原因は、接地面積の変化であり、単純に接地面積が増えるほど限界も向上していた。当然といえば当然だが、剛性の変化でホイールの変形状態が変わり、それに伴ってタイヤの接地面積が変わる。だが、タイヤに比べてはるかに変形量の少ないホイールの変形が、ここまでグリップに影響を及ぼすとは思わなかった。

 この結果から導かれる恐ろしい結論は、タイヤのグリップを引き出すのに、単にホイール剛性を上げれば良いのではなく、ボディー剛性、サスペンションの支持剛性、タイヤの特性などにマッチした最適な剛性バランスのホイールを設定しなければならないということだ。車種やタイヤ、サスセッティングによって最適なホイールは全く違ってくる。
 逆に、軽量鍛造アルミホイールの剛性が低いことも、一概に悪いこととは言えなくなった(参考:「鍛造ホイールは剛性が低い」)。
posted by まいすた at 01:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月29日

時代が追いついた?

 中央自動車道を走っていたら不思議なことが起こった。
 「走行車線を走っていたところ、いつの間にか登坂車線に移動していた」と錯誤した。

 どういうことかというと、以下の画像のように、上り坂で登坂車線のために3車線になる区間で、車線変更していないのに、一番左側の車線にいたのだ。通常なら、走行車線を走っていれば、登坂車線の増える区間では真ん中の車線にいたはずだ。
登坂車線の右側付加.png

 原因は、「登坂車線の右側付加車線方式への変更試行」のせいだった。これは、登坂車線を一番右側に付加することで、追い越す車の方が車線変更をするように運用を変更して、安全性の向上を評価するためのものだ。
 個人的には、免許を取った頃から登坂車線のあり方は、右側に追い越し用としてある方が理にかなっているとずっと思っていたが、やっと合理的な構造に改善されるかもしれない。
posted by まいすた at 20:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月31日

ルーローの三角形ではなかった

 ひょうたん型のハウジングとおむすび型のロータが特徴的なヴァンケル型ロータリーエンジン。
 ひょうたん型のハウジングは「ペリトロコイド曲線」、おむすび型のロータは「ルーローの三角形」と言われている。

 だが、実はマツダの13B型ロータリーエンジンのロータ形状はルーローの三角形ではないことに気付いた。

 下図は、ペリトロコイド曲線のハウジングと、ルーローの三角形型でロータを作図したものだ。マツダの13B型エンジンの諸元、偏芯量15mm、ステーショナリーギヤとインナーギヤの歯数比1.5、ロータの創成半径(ロータ中心からアペックスまでの長さ)105mmで作図した。

ロータリーエンジン.png
 一番右の図を見ると分かるが、右のくびれ部でロータとハウジングが干渉してしまっている。これではエンジンは回転できない。

 この問題を幾何学的に説明しよう。
 ロータがルーローの三角形であるとすると、その幅は創成半径105mmの√3倍となり、上の図では約181.865mmとなる。ルーローの三角形の特徴は、定幅図形なので、ロータはどこの幅を測っても約181.865mmになる。
 ところがハウジングのくびれ部の幅は、(創成半径-偏芯量)×2なので、180mmしかない。
 幅が約181.865mmのロータが、ハウジングの180mmの幅に納まらないのは自明だ。

 ハウジングと干渉しない最大のロータの形状は、ロータを固定してハウジングの方を回転させた時の内包絡線形状となり、これはルーローの三角形ではない(13B型エンジンの諸元だと、アペックス間の距離は約181.865mmだが、アペックスと対面の弧の中点との距離は180mmとなる)。この形状を数式で表すのはかなり複雑になるので、また機会があれば。
 実用上では、13B型エンジンのロータの弧は曲率半径195mmの円弧にすれば良い。

 ただし、エンジンの諸元次第では、ルーローの三角形型のロータでも干渉せずに回転することができる。ルーローの三角形型ロータの幅より、ハウジングのくびれ部の幅が大きくなっていればいいのだ。
 創成半径をR、偏芯量をeとすると、ロータ幅は√3 R、ハウジングくびれ部の幅は2(R-e)となり、下記の条件を満たす時、ルーローの三角形型のロータは干渉せずに回転できる。

√3 R < 2 ( R - e )
   ↓
R > ( 4 + 2√3 ) e

 13B型エンジンの場合、創成半径を約111.941mm以上にすれば、ロータの形がルーローの三角形でも問題無くなる。

 しかし、巷には何の疑問も無く「ロータリーエンジンのロータ形状はルーローの三角形」という誤謬が氾濫していて参る。
posted by まいすた at 23:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月23日

スキー板ウィング

 スキー板を車に積むため、ルーフキャリアを付けている。
 そして、スキー板の先端は反っているが、あの反っている先端を後側に向けてルーフキャリアに積むと、「ウィングっぽいな」となるわけだ。

 ダウンフォースが発生するのでは?

と思ってしまうのもしようが無い。ダウンフォースが発生すれば、その反力を受けてスキー板は撓むはずだ。
 ということで、カメラを仕掛けて観察してみた(参考:「デフレクタの効果」)。
 撓みのついでに、タフトを付けて気流の状態も観察した。

スキー板ウィング.png
 画像は、時速100kmで走行時のルーフキャリア上のスキー板の様子だ。
 画像解析によると、速度を上げていっても一向にスキー板は撓む様子が無い。タフトの動きを観察すると、スキー板先端のタフトは真後ろにたなびき、気流を上に曲げいている様子が無い。これでは揚力が発生していないのは明らかだ。
 また、スキー板の水平部分上のタフトを見ると、そもそもスキー板の上をきれいに気流が流れていない。キャリアの陰になっているせいで、気流が乱れてしまっているのだろう。
 さらに、スキー板の反り上がり部で気流が斜め横へ逃げている様子も見える。
 まとめると、キャリアの陰のせいできれいに気流が当たらず、前後長に対して横幅が極端に小さい超低アスペクト比の翼になるため、ろくな揚力が発生しなかったのだろう。
 スキー板を利用してダウンフォースを得る夢は破れた。
posted by まいすた at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月19日

格安で車重を量る方法

 愛車の車重を知りたくなったらどうすればいいのか?
 一応車検証に載っているが、これは登録時の車重であり、オプションやカスタマイズの重量が反映されていない。
 私は計算に使うため、わざわざチューニングショップでコーナーウェイトを量ってもらった。しかし、これだと数千円の費用がかかる。

 この前、スキー板を新調した。ビンディングが壊れた古いスキー板をお店に処分してもらおうと思ったら、処分費用が1500円もかかると言われた。
 なので、自分でゴミ処理場に捨てに行くことにした。ついでに、リサイクルショップに売り飛ばせないほどボロいオーブントースタやらオーディオのスピーカやらも持って行った。
 ゴミ処分場の料金は、ゴミの重量単位で算出される。どうやって重さを量るのかなと思っていたら、ゲートに車ごと乗る重量計があった。入場する時に車ごと重さを量り、退場する時にまた量って、その重量差を処分場で降ろしたゴミの重量とするのだ。料金は60円だった。
 たった数十円で、ゴミも処分できて、現状での愛車の重量(乗員から荷物から燃料残量から全て込み)まで分かってしまうとは!

 ちなみに、重量は10kg単位で測定される。ここで、持ち込むゴミを○5kgにすると、車重は5kg刻みで分かることになる。
 例えば、15kgのゴミを降ろす前の測定値が1020kgであったとする。もし、降ろした後の測定値が1000kgになったとしたら車重は1005〜1010kg、測定値が1010kgになったとしたら車重は1010〜1015kgであると分かる。
※重量計が第1桁目切り捨て表示の場合
posted by まいすた at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 自動車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする