GRカローラのエンジンはG16E-GTSと、型式はGRヤリスと同一だがスペックは向上している。それに伴いエンジン系を強化する変更がされている。
まず特徴的な変更は3本出しマフラーだろう。中央の排気口にバルブを備えたデュアルステージエキゾーストとなっている。静粛性を確保しながら背圧低減を実現して、出力向上に貢献している。
バルブの制御条件を見てみよう。IG-OFF・始動・アイドリング時は開。回転数による開閉条件は、4500rpm以上になると開、4300rpmを切ると閉。速度条件では、30km/h以上になると閉、27km/hを切ると開。
高回転域でバルブを開くのは理解できるが、低速時にバルブを開く理由はよく分からない。
次にエンジン内部の変更点を見てみる。
・ピストンの材質を高強度の新開発材料に変更
・エキゾーストカムシャフトの後端に軸受けを追加
・バルブスプリングを改良
・バルブラッシュアジャスタのオイルリーク量を従来より厳しく管理
・高圧フューエルポンプの最大吐出圧増強(22MPa→26MPa)
・EX側VVT-iギヤASSYにアシストスプリングを追加
約1割の出力向上に対して、これほどの対策が必要になるとは。
ちなみに、使用できるエンジンオイルについても変更されている。GRヤリスではLSPI対策の関係でSPまたはSN PLUS規格が指定されており、SN規格のオイルは使えなかった。それがGRカローラではSN規格のオイルが使用可能となっている。
駆動系にも変更が加えられている。
まず最終減速比がGRヤリスに比べて3.0%増で、車重増大に対応している。
GRヤリスでは導電性ハブグリースを使用して足回りに発生する静電気を除電していたが、GRカローラでは通常のハブグリースになっているようだ。
シフトポジションインジケータも追加されている。この仕組みがなかなか興味深い。シフトレバー部にセンサを備えてシフトポジションを検出しているのではない。このクルマは iMT(オートブリッピング機能)のためにミッションの入力側に回転数センサを備えている。またABSなどのために車輪速センサもある。これらセンサから得られる、ミッション入力側回転数と車輪速との比率からシフトポジションを算出しているのだ。既存の信号を利用してシフトポジションを判別するうまい仕組みだ。
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